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安武秀岳『新書アメリカ合衆国史① 大陸国家の夢』

安武秀岳

 1988『新書アメリカ合衆国史① 大陸国家の夢』講談社現代新書(929)

 

 講談社現代新書から三巻本で出ている「新書アメリカ合衆国史」の第一巻です。本巻では新大陸への植民から南北戦争終結までが、創建期アメリカにおける政治経済の展開およびグローバル世界の動向と絡めつつ述べられています。

 なにぶん私にとってアメリカ史は専門外なので、コメントをするような知見もなく、純粋に勉強になるなあと思いつつ読んでおりました。文章は少々硬いですが、歴史上のエピソードなども織り交ぜられて楽しく読めるようになっており、初学者でも十分読み通せるように配慮された作りになっています。

 

 なお本書の観点はあとがきで明確に述べられていましたので、少し引用します。

この巻では、何よりも、独立革命から南北戦争までの時代を一つの連続した歴史過程として描くよう試みた。これまで多くのアメリカ史叙述では、独立革命南北戦争という二つの大事件にあまりにも多くの関心が払われてきた。……その結果この両事件の間の十九世紀前半期の歴史が、独立戦争のエピローグとして位置づけられたり……することになりがちであった。筆者はこのような傾向に物足りなさを感じてきた。(205)

 そう述べたうえで筆者は、しかしながらこの時期はアメリカがいわゆる「近代化」を成し遂げた革命的変化の時代であったことを指摘します。かくして本書は、

この十九世紀前半の革命的変化に視点を据えて、独立革命南北戦争を統一的に見通すという筆者の日頃の問題関心の産物(206)

として記述されたということが明かされるわけです。私は頭から読んでしまったのですが、先にこの問題関心を共有しておけばより理解が深まったかと、少々残念に思います。これから読む人は、あとがきから先に目を通すのがおすすめかもしれません。

 

 それと1988年の初版と少し古い点は否めませんので、このあとアメリカ史研究がどのように進んだのか、確認してみたい気持ちはあります。ともあれ、高校の教科書以外で明示的にアメリカ史を読んだのは初めてでしたので、個人的には新鮮な読書体験でした。二巻も手に取ってみようと思います。

 

目次

はじめに

第一章 植民地建設

第二章 アメリカ独立革命

第三章 世界革命の中の国家建設

第四章 大陸国家の建設と工業化

第五章 アメリカ社会の形成

第六章 南北戦争奴隷解放 

あとがき

 

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